弔事の贈答は、慶事以上に「間違えられない」場面です。とはいえ原則はシンプルで、押さえるべき点は多くありません。
先に結論です。
香典返しの正解:いただいた香典の半額〜3分の1の「消えもの」(お茶・海苔・菓子・タオル)。お供え物の正解:日持ちする個包装の菓子か果物、線香・ろうそく。どちらも派手な包装を避け、掛け紙は「志」または「御供」。
香典返し:基本は「半返し」
金額の目安
いただいた香典の半額〜3分の1が全国的な相場です(「半返し」)。
| いただいた香典 | 香典返しの目安 |
|---|---|
| 5,000円 | 2,000円〜2,500円 |
| 10,000円 | 3,000円〜5,000円 |
| 30,000円 | 10,000円〜15,000円 |
高額の香典をいただいた場合は、無理に半額にこだわらず3分の1程度でも失礼にあたりません(相手は遺族の負担を望んでいません)。
品物:後に残らない「消えもの」が原則
不祝儀を「残さない」という考えから、使い切れる品が定番です。
- お茶・煎茶 ギフト——最も伝統的な定番
- 海苔 詰め合わせ——日持ちと実用性
- 焼き菓子 詰め合わせ——世代を問わない
- 今治タオル——「悲しみを拭う」の意味を持つ実用品
- カタログギフト——金額調整がしやすく近年の主流
避けるべき品:肉・魚(四つ足生臭もの)、お酒(慶事の象徴)、鰹節・昆布(祝いの品)。
掛け紙(のし)
- 水引:黒白(関西の一部は黄白)の結び切り
- 表書き:「志」が全国で通用する万能表記。関西では「満中陰志」も
- 「のし(熨斗鮑)」の付いた祝い用の紙は使いません。**弔事は「掛け紙」**と呼びます
法事のお供え物
親族として法事に持参する場合の定番です。
金額の目安
3,000円〜5,000円。会食に参加する場合は5,000円〜10,000円程度の「御供物料」(現金)を包む地域もあります。地域差が大きいので、迷ったら親族の年長者に確認するのが確実です。
定番の品
- 個包装の和菓子・焼き菓子——法要後に分けやすい個包装が喜ばれます
- 果物かご盛り——仏前の見栄えがする伝統の品
- 進物用線香・ろうそく——「消えもの」の最たるもの。日持ちの心配もゼロ
- 故人が好きだったもの——形式より気持ちを重んじる場合の正解
お供えの掛け紙
- 表書き:「御供」または「御供物」
- 水引:黒白または黄白の結び切り
- 名前はフルネームで(親族が多い法事では姓だけだと分からないため)
よくある質問
Q. 香典返しはいつ贈る? A. 忌明け(四十九日法要)後に贈る「後返し」が伝統ですが、近年は葬儀当日にお渡しする「当日返し」(2,500円〜3,000円程度の一律の品)も一般的です。当日返しで足りない高額香典には、忌明け後に追加で贈ります。
Q. お供えに現金と品物、どちら? A. 地域と家によります。品物が無難ですが、迷ったら親族に合わせるのが正解です。
Q. 派手な包装紙になってしまったら? A. 販売店で「お供え用(弔事用)です」と伝えれば、落ち着いた包装と掛け紙に対応してもらえます。ネット購入でも弔事用包装を選べる店舗を選んでください。
弔事の贈答は「気持ちの表し方の型」が確立している世界です。型に従うこと自体が礼儀なので、この記事の原則通りに選べば失礼にはなりません。地域差だけは、親族への一言確認を忘れずに。
